バラライカコンサートに行って来ました
4月14日にカザルスホールで行われました北川翔バラライカリサイタルを見てきました。コンサートはすばらしく、まだ初めて2年しかたっていない若干21歳の彼の演奏に圧倒されました。
なぜ私がバラライカのコンサートに行ったかというと、彼の父親、北川勉君は有名なバラライカ奏者で私の高校の同級生、そして無二の親友でした。また彼の祖父北川剛氏はロシア民謡合唱団「白樺」の指揮者で仲人でもあります。剛氏はだいぶ前にお亡くなりになりましたが、親友の勉氏も実は昨年、大変な闘病の末、まさに志半ばで癌によりなくなってしまいました。私は彼の闘病に何度か立ち会いましたが、起き上がるだけでも数時間を要する中、自分の主宰するバラライカオーケストラのレコーディングに立ち会ったり、最後までコンサートに出ることにこだわり続けていました。その命を懸けた音楽へのゆるぎない情熱を目の当たりにし、心底感銘し、感動しました。彼は本当にすばらしい人間でした。彼をなくしてしまったことは本当に悔しいです。
もう余命いくばくもない彼の前で何とかリサイタルをと願っていたのが、息子、翔君でした。一昨年よりモスクワ留学をしていましたが、父親の病状の悪化により、途中で帰国し看病をしていました。モスクワにいたときも電話越しに自分の演奏を病室の父親に聞かせ、めったにほめることのなのない勉君も、彼の上達の早さに驚いていたようです。結果彼の存命中にリサイタルはかないませんでしたが、4月14日は勉君の誕生日。この日を選んだコンサートは、翔君の見事な演奏で、満員の観客を魅了しました。私は勉君も会場に来ていたんだと思います。翔君はそれを感じ、天国の父親に最高の演奏を贈りました。その場に立ち会った私たちも親子の絆を強く感じました。勉君、もう何も心配ないよ。というか君よりうまくなるかも。本当によかったね。
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Comments
・・とても胸が熱くなるお話をありがとうございます。
お父様の思いを心に、楽器にもいっぱい込めて演奏されて、
会場にいらした皆さんもとても感動されてたと想像してます。
バラライカの演奏を聴くことはなかなか縁がありませんが、聴いてみたいですね。
翔さん。お父様の後継者として、世界に羽ばたいていかれると思います。ずっと見守って下さってると・・
Posted by: chieko | April 18, 2006 13:22